2022/09/03
症例:脾臓腫瘍
脾臓は腹部の左側に位置している臓器で、血液中の老化した赤血球を処分したり、
血液を蓄えておくはたらきがあります。
その他にも免疫に関する働きや、貧血時に補助的に血液を作る(造血)役割も担っています。
脾臓腫瘍は犬で比較的発生頻度の高い腫瘍の一つですが、特徴的な症状を示さないことが多く、
腹部超音波検査などで偶然見つかることがあります。
腫瘍が大きくなるとお腹の中で破裂し大量出血を起こし、
ショック症状(頻脈や呼吸促迫など)が現れます。
脾臓の疾患において、約2/3が悪性の腫瘍であり、そのうちの2/3は血管肉腫であると言われています。
(国内では小型犬が多いためか海外とは少し状況は異なります)
良性の非腫瘍性疾患としては血腫や結節性過形成が知られています。
脾臓腫瘍における一般的な治療法は悪性、良性ともに、脾臓摘出となります。
術前に血液検査やX線検査、エコー検査で腫瘍の大きさや破裂の有無、
危険性や貧血などをチェックし、重度の貧血が見られた場合には輸血が必要となります。
脾臓を摘出しても、脾臓の仕事を他の臓器で代償できるため、
良性だった場合ほとんどの犬では術後大きな問題になりません。